大会長挨拶

Sunday-129

  第71回日本放射線技術学会総会学術大会大会長
  平野 浩志
(信州大学医学部附属病院)

 第71回日本放射線技術学会総会学術大会を2015年4月16日(木)から19日(日)の4日間,パシフィコ横浜で開催いたします.JRC2015のメインテーマは『 BE Cool and Practical 』です。『 BE Cool and Practical 』には、冷静に現状と近未来とを見据え,実践的に対処することがもっとも肝要との意味がこめられています.

 日本医学放射線学会(JRS),日本放射線技術学会(JSRT),日本医学物理学会(JSMP)の3学会合同企画の特別講演は、東京大学地震研究所地震予知研究センターの平田直先生に,「予想される首都圏の震災と地震波トモグラフィーで探る巨大地震の姿」のご講演を頂きます.地震波とMRの信号が似ているので,とても興味深いお話が聞けると思います.合同シンポジウムは、17日(金),18日(土),19日(日)の3日間各学会の担当で,「被ばく管理:医療被ばくの見える化」「放射線治療におけるチームワークの重要性」「放射線医療における自動化(オートメーション)技術にどう向き合うか?」が行われます.

 JSRT実行委員会企画は,X線画像に拘りました.「胸部にはじまり胸部に終わる」と言われた胸部単純撮影に絞り,『進化する胸部単純撮影』のシンポジウムを行います.特別講演1として福井大学の伊藤春海先生に『正常胸部Ⅹ線像の学び方,教え方』のご講演を頂きます.伊藤先生は、ご存知のように胸部HRCTの開発者であり、胸部Ⅹ線画像を,肺の標本、病理学、Ⅹ線解剖学から解きほぐしたお話が聞けると思います。さらに目玉として,正常な胸部単純Ⅹ線画像の基本構造を詳細に学びたい人に伊藤先生の寺子屋を開設します.

 特別講演2として,Ⅹ線の位相コントラストを用いて,軟部組織の画像化を研究されている東北大学多元物質科学研究所の百生敦先生に,『X線を極める』―X線タルボ・ロー撮影に至るまで―のご講演を頂きます.X線一筋に研究されてきた哲学のお話が聞けることを楽しみにしています。

 技術活用セミナーは,6回シリーズで「救急診療にどう関わるのか」を救急現場の医師と放射線技師にご講演いただきます.6回すべてを聴講できます.また3回シリーズで「ImageJの活用」としてDR,CT,MRIでの使い方の講義を行います.

 教育講座「乳癌診療A to Z―専門医は・技師はこう考える―」では,各種画像検査から病理診断,薬物療法,放射線治療まで一貫した教育の場を提供します. 

 学会は国際化に向かっています。そのために英語化を勧めています。これは,JRCの大会をRSNA,ECRに次ぐ大会にするためのステップであり、日本の優れた研究を世界に発信していくためです.今やらなければ、アジアの他の国が手を上げてしまいます。本大会(第71回大会)の、英語による口述発表は115演題、これは口述研究発表全体の25%に当たります.国際化に向かって、会員の皆様のご理解とご協力をお願いいたします.

 日本放射線技術学会第71回総会学術大会を『研究発表の場、教育の場、研究開発の場』として大いに楽しみ,大いにディスカッションして研究仲間を増やして下さい.